2015年09月17日

巨人・杉内投手が股関節手術へ…「股関節インピンジメント症候群」とは?

巨人の杉内俊哉投手が右股関節の手術のため、来季の開幕までの復帰が困難であることが分かりました。報道によれば、手術を行うのは過去に股関節の手術を受けた同僚の久保裕也投手と同じ部位。杉内投手の方が症状は重いそうです。なお、久保投手が受けたのは股関節唇損傷を修復する手術で、過去にダウンタウン松本人志さんも同様の手術を受けたことで知られています。

股関節唇損傷は股関節痛の原因のひとつ。ここでは、股関節唇損傷が生じる背景と、考えられるリスクについて見てみましょう。


◆股関節の構造は「ボール・アンド・ソケット」


股関節の構造は、肩関節と少し似ています。どちらも、球状をした骨(骨頭)とこれを受け止める受け皿が関節を構成しています。英語では「ボール・アンド・ソケット・ジョイント」と呼ばれ、文字通りソケットの中をボールが自由な方向に動く構造をしています。体重を受けとめる股関節は肩関節よりも丈夫に作られ、その分、可動域や自由度は制限されています。

このような形状を持つ股関節には、ボールがソケットからズレてしまったり、ボールとソケットが擦れあってしまったり、ボールとソケットが衝突してしまったり、といったトラブルが生じます。股関節唇損傷も股関節の形状ゆえの疾患です。


◆股関節インピンジメント症候群

脚の付け根にあたる大腿骨の先端には球状の骨頭があり、骨盤の寛骨臼という受け皿に収まっています。寛骨臼には、骨頭をしっかりと収めておくための軟骨組織があり、これが「股関節唇」です。受け皿の縁を補強する部分と考えてください。

深くしゃがみ込む姿勢(股関節の屈曲といいます)をとると、股関節唇と大腿骨とが衝突することがあります。特に、寛骨臼の幅が広い、大腿骨の骨頭が太い、といった形態異常がある場合に衝突が起きやすく、股関節唇の損傷につながります。衝突のことを「インピンジ」といい、股関節で繰り返し衝突が起き、損傷の危険が高い状態を「股関節インピンジメント症候群」といいます。

股関節インピンジメント症候群で股関節唇が損傷すると、股関節は不安定になり、大腿骨と寛骨臼の関節面にある軟骨が不自然に擦れあうようになります。股関節唇には衝撃を吸収して関節の軟骨を保護する役割がありますが、これが上手く機能しないと関節が受け止める衝撃が大きくなってしまいます。その結果、関節の軟骨がすり減り、関節の破壊が進む「変形性股関節症」につながります。

なお、変形性股関節症の治療方法として知られれているのが、自分の関節をインプラントに置き換える「人工股関節置換術」です。スポーツ選手が股関節を痛めたからといって、直ちに人工関節を連想するのは早計ですが、股関節唇損傷が悪い方に進めばそうした選択肢が必要なケースも出てきます。


◆股関節鏡による手術

早期のスポーツ復帰や社会復帰のために、手術にともなう体の負担をいかに小さくするかが追及されています。股関節に関しても、股関節鏡という機器を用いて1センチ程度の小さな傷で手術が可能です。股関節鏡には高性能カメラが取り付けられ、関節の中を実際に画像で確認しながら手術を進めることができます。股関節唇損傷の手術では、関節の様子を確認しながら、股関節唇を縫合し、骨の出っ張りがあれば削ります。筋肉の損傷をできるだけ抑え、早期回復を目指します。


股関節の痛みが股関節唇損傷によるものである場合、心配されるのは変形性股関節症を引き起こすことです。そこまで悪化していない場合、手術の必要がない場合でも、股関節インピンジメント症候群に対する保存的治療を開始した方がよいケースもあります。股関節の痛みが続くときは整形外科の受診を検討してください。
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Posted by evasann11 at 16:54